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曲でごはんをたべない人の繰言 [繰言]

とある授業の補佐のため
こういうのとか こういうのとか こういうのとか こういうのを見て現状を確認していたら,
情報社会への変遷の狭間で「いかにアーティストが食っていけるか」という切り口で
問題の本質が見えてくる気がしてならない.

ミュージシャンを例に,社会の時間スケールを大き目に見てみる.
人類の歴史上,おそらく古代では,
音楽は神に捧げるもの・神との交信であり,生活の糧ではなかった.
中世では(第1世代と呼ぼう),作曲家・演奏家はパトロンの下で創作活動をした.
ミュージシャンは食いっぱぐれないように,パトロン探しという就活や,
音楽の家庭教師というバイト生活をしていた.

産業革命そして蓄音機の発明以降の近代(第2世代と呼ぼう),
音源が生産され,流通し,利用されることで次第に音楽の著作権意識が成長し,
資本主義社会ではレコード会社や管理団体等等から音楽の現代的な流通システムが構築された.
ミュージシャンが食っていく手段は,会社(音楽出版社)と契約すること.
著作権を会社へ譲渡する代わりに,音楽による会社の儲けの一部をミュージシャンに還元する契約.

そして今日の情報社会(第3世代と呼ぼう)では,誰もが情報の生産者,仲介者・消費者となる.
その気になれば,誰もが著作物を発信し,プロモートし,集金できる.
これは,ミュージシャンが食っていく新たな術であり,第2世代の会社とは契約は不要となる.
ミュージシャンは著作権を譲渡しない.権利はミュージシャンに残る.
彼らはいかに権利の管理負担を減らし,作曲に専念できるかが鍵となる.
権利を譲渡するのではなく,権利の管理を委託する先が欲しくなる.
この意味で,e-Licenseなどは第3世代の著作権管理会社と言えよう.

この視点から考えると,認知度が低いことで有名な(?)補償金制度は,
第2世代の集金方法を第3世代に適用しているようなものである.
世代の移行期には認めてもよいが,あくまで過渡期の手段であり,必要悪臭が漂う.
既に指摘されているように,機器や媒体に課金することに限界があるのは目に見えている.
外出中に自宅サーバからのストリーミングを携帯プレイヤーで再生したいなんて場合,
何重に課金されることになるのやら・・

一方,デジタル権利管理(DRM)は第3世代に流通を制御する有効な技術であると言える.
ただし,技術が社会を縛りすぎてはならない.
利用者(消費者・リスナー)の私的複製の権利,知る権利,電子的配信の波及効果などを
著しく損なわないことが肝要である.
金銭的な利害関係が生じる場合は特に,利用者と会社は適切な契約を交わすことが重要となる.
第2世代の感覚で設計したビジネスモデルがいつまで通用するだろうか.
逆に,第3世代の利用者は,どういう契約の下でサービスを受けているのか
無頓着なままでは損をする.
iTunes+iPodは便利だが,その利便性の恩恵の代償に,
例えば「利用ルールに律則させる技術を使用したセキュリティフレームワーク」(つまりDRMなど)で
私的複製が制限されることも受け入れているし
果てはエアコンが不能になっても文句は言えないのだ(ぉぃ
このまま無頓着でいるとDRM技術的管理下にあるiPodどころか,
諸外国の真似してUSBメモリにまで補償金が検討されちゃいまっせ

そしてミュージシャンは,
権利を丸投げしていた第2世代の惰性的な思考のまま食っていけるのだろうか.
それとも,第3世代では非親告罪化に期待してますか?


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自己レス

後日,こんな記事が出たのを見かけた.
http://ascii.jp/elem/000/000/077/77190/
『消費者が直接、アーティストの「パトロン」になる』という見解は同じ視点だと思われ.
by 自己レス (2007-11-14 13:04) 

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